コメ価格下げたい…小泉大臣の3つの“切り札”

 政府備蓄米の在庫がなくなれば「緊急輸入も含めて、あらゆる選択肢を持って向かいたい」と6日に発言した小泉農水大臣。なぜ今コメの輸入に言及しているのでしょうか。

 今、コメの価格をめぐり、価格が少しでも下がればうれしい消費者のために価格を下げたい小泉農水大臣と、生産コストが高い零細農家のために価格を下げすぎたくないJAによる綱引きが行われているそうです。

 そもそも前提として、モノの値段は需要と供給の関係によって決まります。供給量が足りなければ(需要が大きければ)値段が上がり、逆に供給量が多くなれば値段が下がります。

 それを踏まえて、宮城大学・大泉一貫名誉教授は見解はこうです。現在60万~70万tのコメが不足しているとされていることから、競争入札で放出された備蓄米30万t(小売り店への流通は5月11日時点で8.7%)を市場に出すことで不足分を補い、価格を落ち着かせる狙いがあるのではないかということです。

 つまり、コメの価格を落ち着かせるにはコメ不足を解消する必要があり、そのためにはJAとの“綱引き”を力強く引かなければなりません。そこで小泉農水大臣が取った行動が以下の3つ、というのが大泉名誉教授の見解です。

 (1)輸入米…「輸入する」と言うことにより、価格が下落することを懸念する業者などが増え市場に出回る量が増える、という狙い。口先介入という言われ方も。

 (2)随意契約…実際に市場に出るコメを増やすことで価格を下げる狙い。

 (3)ミニマムアクセス米…日本が海外から最低限輸入しなければならないコメで、関税なしで玄米約77万tを毎年購入。これまでは農家への打撃を避けるために10万tのみ主食用、残り67万tは加工・飼料用としていたが、主食用の枠を増やすことを示唆。

 「緊急輸入」などを実際に行うのか、“綱引き”の一手として「言うことによる効果」を狙っているのか…真意はどこにあるのでしょうか。