AIツール利用で「売り上げ1位に」
ECショッピングで誰もが一度は目を通す商品レビュー。ネガティブなレビューが並ぶ商品は敬遠しがちだが、ここから「販売増」に結びつけたケースがある。
防虫剤や消臭剤でのヒット商品が多い日用雑貨メーカー『エステー』。
EC事業の売上が好調に伸びるなか、売れ筋商品の「無香性消臭剤」の販売が伸び悩んでいた。

EC営業部部長・髙野 豪さん:
「競合他社に非常に強いブランドがあり、後発で出したことで客の認知度も売り上げも劣るような状況だった」
エステーのケースでは「機能に特化した3つのAIツール」が活用されている。

▼〔1〕商品の訴求すべきポイントを洗い出すツール
⇒消臭効果や持続時間・即効性などのアピール項目が商品ごとに出てくる
▼〔2〕レビュー分析ツール
⇒競合他社を含む数千ものレビューを約10分で収集・分析
▼〔3〕画像やキャッチコピーなどを生成・提案するツール
⇒改善内容を具体的に提案
これらの分析結果から、エステーの無香性消臭剤には、「消臭効果」と「インテリア性」の訴求の弱さが見えてきた。

そこで、「消臭効果」については、「何の臭いに効くか」だけでなく「どこの場所の何の臭いか」まで明確に説明する画像に変更。
「インテリア性」では、ラベルを剥がせば部屋の景観を邪魔しないことを新たに訴求するなど改修した結果、現在は販売ランキングで1位をキープしている。

AI普及でビジネスの現場は?
生成AIのさらなる普及がもたらす変革とは…

『いつも.社』望月副社長(48):
「AIでページを作ったり分析したり、メールや広告を打ったりを自動化すると、おそらく“5分の1や10分の1”の時短になる可能性もある。そうするとメーカーやショップは商品の強みや打ち出し方を考えるところだけになってくるので、非常に良いことだと思う」
驚異の能力向上も「まだ完ぺきではない」
このように企業がAIを導入する動きについて、『ライフプロンプト』CEOの遠藤聡志さんは「業種を問わず危機感を感じていて、問い合わせも多くなっている」と話す。

遠藤さん:
「AIへの指示の仕方などを我々がお手伝いをしていて、この順番で分析をかけていくとか、この観点でデータを見ていくみたいなその辺りにノウハウが宿る。そこの言語化およびAI化っていうのをやらせてもらっている」
ーー業務の効率化は相当なものか
遠藤さん:
「何かを読み解くのに手作業なら数時間かかるところをAIなら10分に短縮できる。時間だけでなく精神的な効果もある。文字をひたすら読み続けるのは結構大変だけど、AIである程度ギュッとまとまった状態になる」
そのAIの進化は著しいものがある。
「AI東大受験プロジェクト」で見てみると、2024年はどの学部も不合格だったが、2025年は「理Ⅲ・理Ⅱ・理Ⅰ・文Ⅰ・文Ⅱ・文Ⅲ」と初めて全てに合格した。
【ChatGPT】
▼物理(60点満点):5点(2024年)⇒45点(2025年)
▼数学(120点):2点(24年)⇒38点(25年)
▼英語(120点):106点(24年)⇒93点(25年)
▼総合(1次+2次5科目・550点):182点(24年)⇒374点(25年)/合格最低点369点

遠藤さん:
「習熟度も早いし、ここ1年で二つの大きな変化があった。1つは<AIに目がついた>みたいなところと、論理的に考える・計算するという<理数的な思考能力>が飛躍的に高まった」
ーー物理や数学は2024年は点数が悪い。こういう点が大きく改善した?
遠藤さん:
「物理は、例えば図表の問題で<図を見ながら現象を理解する>というのがあるが、それが全くできなかったものができるようになった。数学だと、途中式まで全部判定されるので、2024年は途中式で引かれて2点。2025年も答えはほぼ全部合っていたけど、途中式で引かれて3分の1ぐらいの得点率に。飛躍的に伸びたもののまだ完ぺきとは言えない状態」