戦後80年を迎え、あの悲劇の記憶をどうつないでいくかが、大きな課題となっています。原爆がもたらした惨状を、未来へ語り継ぐため、札幌の高校生たちが舞台に立ちました。
◇《原爆の壮絶な記憶…高校生が伝える朗読劇》

5月24日、札幌・中央区にある『かでる2・7』のステージで、高校生たちが、朗読劇を披露しました。
朗読劇(高校生)
「何かが光り、ものすごい音と爆風が押し寄せてきた!」
80年前の夏に投下された、2つの原子爆弾。あの日、何が起きたのか。被爆者たちの壮絶な体験を伝える朗読劇です。
朗読劇(高校生)
「放射能の恐ろしさは長く、長く続いているのです」

被爆者たちの悲痛な声を朗読劇で伝えたのは、札幌南高校の定時制に通う生徒たちです。朗読劇をやらないかと声をかけたのは、社会科全般を教える野口隆先生(61)。取り組みは、去年の夏から始まりました。
札幌南高校の定時制は、夕方5時半から授業が始まり、9時近くまで続きます。週に2回、授業のあと、野口先生のもとに、朗読劇のメンバーが集まります。

札幌南高校(定時制)野口隆教諭(61)
「どんな言葉が一番しっくり来る?ノーモア ウォーじゃなくて、ノーモア ウォー!という呼びかけで…」
生徒たちにとって、自分たちの親の世代さえ知らない戦争は、今や遠い歴史の出来事なのかもしれません。それでも朗読劇に向けて、強い意志が芽生えていました。

札幌南高校(定時制2年) 前川玲奈さん(22)
「広島、長崎の戦争のことを何か伝えていかなきゃいけないのかな、しっかり目を向けなきゃいけないのかなっていうのは、すごく感じるようになった」

1945年8月6日、広島に投下された原子爆弾によって、その年の12月末まで約14万人が命を奪われました。そして原子爆弾は8月9日、長崎にも投下され、7万3千人を超える犠牲者を出したのです。
今回の朗読劇は、北海道に移り住んだ被爆者たちの証言をもとに、台本が作られました。

札幌南高(定時制)野口隆教諭(61)
「どこを削って、どこを残して、どこを強調したいか、あさってまでに考えてきてください」
高校生たち
「木曜日?わぁ…木曜日かぁ」
朗読の進め方や練習だけでなく、戦争や平和について、互いに語り合い、考える時間が重ねられていきました。