保津川の清掃活動から有料無料を問わないプラスチック製レジ袋の提供禁止へ
亀岡市のごみが大幅に削減されている背景には、ごみ問題に対する市民の意識の高さがある。実は亀岡市は、プラスチック製レジ袋の配布を、有料・無料を問わず条例で禁止している全国唯一の自治体だ。
プラスチック製のレジ袋が全国で有料化されたのは2020年7月だが、亀岡市ではその翌年1月には、有料・無料を問わず禁止する条例を施行。現在、市内のマイバッグ持参率は98%以上を誇る。
こうした取り組みのきっかけは、保津川にペットボトルやレジ袋などのゴミが目立ち始めたことだった。大雨で川が増水した後、水が引くとレジ袋と思われるプラスチックの物体が木に引っかかっていたほか、川岸や渓谷の岩場などには大量のごみが打ち上げられた。

この状態に気づいた保津川下りの船頭さん2人が、2003年頃からボランティアで掃除を始めた。その1人で、現在保津川遊船企業組合の代表理事を務める豊田知八さんが当時を振り返る。
「保津川の水運は1300年前から材木を平安京などに送る『筏流し』で始まり、船による運搬も400年以上の歴史があります。ところが、ごみがどんどん増えてきたことで、お客様が美しい川の景色を求めて保津川に来ているのに、ごみだらけの川を見せるのは恥ずかしいと思ったのが、掃除を始めたきっかけです。
ただ、掃除をしても大雨が降るたびにごみが多くなるので、『いたちごっこじゃないか』と言われて、何度も心が折れそうになりました。それでも、何とかしなければと思い取り組みを続けました」

豊田さんたちが掃除を始めて数年後の2007年に、保津川遊船企業組合にエコグリーン委員会が立ち上がり、組織的な清掃活動が始まった。同じ年にNPO法人プロジェクト保津川が立ち上がり、どんなごみが、どこから出てきているのかを調査分析していった。
保津川は京都市内で桂川に名前を変え、淀川に合流し、大阪湾に至る。保津川にプラスチックごみを流さないことが、海洋プラスチック汚染を防ぐことにつながるとNPOや市民、行政が訴えていくことで、川をきれいにする活動が亀岡市内だけでなく流域にも広がった。
2012年に亀岡市は内陸部の自治体としては初めて「海ごみサミット」を開催。2018年には「かめおかプラスチックごみゼロ宣言」をして、2021年に前述したプラスチック製レジ袋の提供禁止条例を施行した。こうした背景が、ごみの大幅削減につながっている。
