分散投資「精神衛生上はいいが…」

では、【分散投資】はどうか。
<卵は一つのカゴに盛るな>という言葉もあるが、井出さんは「分散するかしないかは人それぞれ」と話す。

井出さん:
「分散投資をするとリスクは下がるが、リターンも下がる。要は、分散投資では値動きがマイルドになるので、心の安定を得られて精神衛生上はいい。その代わりにリターンを一部放棄する、これが分散投資。一方で僕のように、株価が下がると安く買えて嬉しいと思うような人は分散しなくてもいい。リスクがイヤで分散するならば、毎月の必要な投資額をもう少し増やさないといけない」

また、今回紹介した「不足額」など諸々の数字は確定しているものではない。
将来インフレ次第で不足額も変わり、年金の制度も変わるかもしれない。退職金の額も物価も変動する。

井出さん:
「なので、1年に1回ぐらいチェックして『投資額を増やす必要があるか』『減らしてもいいか』など健康診断的にやっていくといいと思う。もちろん投資はイヤだという人はやらなくていいし、それも人それぞれ」

格言「頭と尻尾は猫にくれてやれ」

最後に5月の格言。
魚の頭と尻尾は猫にあげて、“欲張らない”ということ。

井出さん:
「投資をする時に、みんな一番安いところで買って一番高いところで売りたいと思う。でもそれは本当に至難の技、できない。猫に頭と尻尾をあげて、自分は美味しい身の部分、7~8割食べれば十分と。100点満点を目指すのではなく、50点でいい。そのぐらいの感覚で投資と向き合えば、リスクを取っても精神衛生上もう少し安定していられるはず。最初から高望みせず欲張らないのが大事」