かつて街中にあった本屋さん。姿を消してしまい、地域からなくなったところもあるのではないでしょうか。2日間だけ開かれた「本屋」の話題です。

鹿児島県伊佐市です。1軒だけあった本屋が2年ほど前に店を閉めて、街から本屋がなくなりました。

(千葉から移住3年)「文化的なものがひとつ無くなってしまったというのは、喪失感がかなり大きかった」

伊佐市出身の絵本作家・かこいかぐみさんです。かこいさんは11歳まで伊佐市で過ごし、現在は愛知県で執筆をおこないながら、全国各地で書店や絵本のワークショップをひらいています。

(絵本作家・かこいかぐみさん)「本屋さんは私自身も好きで、生まれ故郷で(本屋が)なくなったのはショックで残念という気持ち」

かこいさんは本を手に取って楽しんでもらいたいと、2日間限定で本屋さんを開きました。

この日、会場となったレンタルスペースに、絵本など200冊が並べられました。やがて、子どもたちや家族連れがやってきました。

(小学生)「きょうは楽しみだった。『大ピンチずかん3』を買いました。1、2は持っているので、これを買えて嬉しかった」

出版文化産業振興財団の調査によりますと、書店がない自治体は去年11月時点で、全国で493あります。全国の自治体のおよそ3割に本屋さんがないのです。

鹿児島県を見てみると、垂水市や伊佐市の2つの市と、奄美群島など17の市町村で書店がありません。書店のない「無書店率」は全国で10番目に高い39.5%です。

(来店者)「とうとう本屋さんまでなくなってしまった。実際に見ると温かみをすごく感じる。本屋さんが戻ってきてくれることを願っています」

今回のイベントに、鹿児島の出版社も期待しています。

(燦燦舎・鮫島亮二代表)「伊佐は書店が無くなって、私たちも置いていた本を引き取りに行った記憶があり、すごく寂しい思いがあった。またぜひ開催していただいて、やる気がある人がいると地域が変わる」

イベントを開いた、絵本作家・かこいかぐみさんは。
「(本屋は)書店員さんとの交流やお客様同士の交流の生まれる場所。本屋さんは本当に必要な地域のコミュニティにもなる」

街に本屋さんが復活することを願う声に満ちていました。