結束すれば閣僚のクビも…野党が得た“成功体験”
石破総理が一度、江藤大臣を続投させようとしたものの更迭せざるを得なくなった理由は大きく2つある。1つは総理から叱責されたあとも、発言について「宮崎弁的な言い方だった」などと江藤氏が緊張感のない答弁を繰り返したことで総理の判断がかわったこと。2つめは立憲、維新、国民民主、共産、れいわの野党5党が一致して大臣の更迭を要求したことだ。これで潮目がかわった。5党の議席数は231でほかの野党が2人加わっただけで、衆院で過半数(233)を超える。大臣不信任決議案が提出されれば容易に可決される環境が整ったのだった。
当初、国民民主の玉木雄一郎代表が「辞める話ではないがちゃんと仕事をして欲しい」と話していただけに、与党側には油断があったのかも知れない。

石破政権以前は、与党が多数を占めていたため、不信任決議案など野党の“抵抗カード”は半ば、後半国会の風物詩となっていて与党側は粛々と否決して終わりだったが、「少数与党」となりその状況は大きく変化した。
今回、江藤大臣の不信任案提出を“ちらつかせる”ことで辞任につながったという側面が大きい。野党にとっては“結束すれば閣僚を辞めさせることができる”という成功体験となった。これはつまり、今後、内閣不信任決議案を野党が同じように結束して出せば可決できるという試金石となったといえる。会期末まで残り1か月、石破内閣はより緊迫した状況での政権運営を強いられることになった。
TBS政治部デスク 室井祐作