“がぶ飲み”血糖値上昇の悪循環に

熱中症対策として水分補給は大切です。しかし、ただ単に水分を取ればよいというわけではありません。大分大学医学部の塩田星児准教授は、誤った水分補給が引き起こす「ペットボトル症候群」に注意するよう呼びかけています。

塩田星児准教授:
「いわゆる清涼飲料水や炭酸飲料には糖分が多く含まれていて、それをがぶ飲みすると血糖値が上がっていきます。血糖値が上がると口が乾き、また飲むという悪循環でどんどん血糖値が上がっていきます」

暑い日に清涼飲料水をがぶ飲みすると、体内の血糖値が急激に上昇します。その結果、再びのどが渇くという感覚に襲われ、「また脱水かも」と飲み物をさらに飲むことで、血糖値が上がっていくという悪循環に陥ります。

この状態が「ペットボトル症候群」です。症状は熱中症と似ており、だるさや腹痛が現れます。また、トイレに行く回数が増え、体の水分が失われ、さらに倦怠感や腹痛といった症状が出てきます。重症化した場合は意識を失うケースもあります。

大分大学医学部 塩田星児准教授:
「一気に飲むと、その分また次の飲み物が欲しくなるため、早く飲み過ぎないことが大切です。基本は水かお茶を飲むことが多いと思うんですけど、できたら経口補水液のようなバランスのとれたものを飲むほうがいいと言われています」

また、外出先などですぐに塩分を摂ることができない場合でも、塩田准教授は「まずは水を飲む、がぶ飲みしない程度に飲まれるといいと思います。それだけでも全然とらないよりはもちろんいいですから」とアドバイスしています。

国の統計によると、2023年には全国で1651人が熱中症で亡くなっています。年々リスクが高まる中、正しい知識を持ち、適切な水分補給を心がけることが命を守る第一歩となります。