のどかな田園風景が広がる大分県宇佐市安心院町。その静寂とは対照的な凄惨な事件が起きた。「この黒いの、血の跡がちょっとだけ残ってるんです」 被害者の次男・山名賢司さんが指さしたのは、電気スイッチの周りに残る黒ずんだ痕跡だった。母・高子さん(当時79)と兄・博之さん(同51)が自宅で殺害された事件から5年以上が経過した今も、当時の血痕は完全には消えていない。
今も点々と残る爪痕
2025年12月、山名さんの案内で、OBS記者が事件現場となった住宅に入った。
「主な血痕は業者を入れてきれいにしてくれているんですけど、少し残っているのはこういうところですね」と山名さんは説明する。電気のスイッチ周辺や壁の一部に、黒く変色した跡が点々と残っている。
住宅内部を案内しながら、山名さんは事件当時の状況を語った。
「リビングが犯行現場です。前のカーテンは処分し、警察が新しく取りつけてくれました」そう話し、かつて血痕が広がっていた場所を示す。今は通常の生活スペースとして使われているが、わずかに残る黒ずんだ跡が、かつての凄惨な光景を無言で訴えかけている。














