医師の偏在と地域医療への懸念

一方で、富山市にある野村病院の野村祐介理事長は、この “直美” の増加が引き起こす医師の「偏在」に強い懸念を示しています。

野村病院 野村祐介 理事長
「研修医と接する機会がありますが、最近は従来の『患者の状態が悪ければ病院に泊まり込む』といった自己犠牲の精神がなくなり、医療を単なる職業と捉える医師、いわば『ビジネス医師』が増えてきました」

「新医師臨床研修制度により労働環境改善の一方で、研修医はいわゆる『9 時 ~17 時』生活。この環境で育ってきた若手は QOL (生活の質)を重視し、長時間労働が必須な外科系を避ける傾向が顕著となっています。直美が増えると診療科の偏在が進み、将来受けられるはずの医療が受けられなくなることを懸念しています」

こちらは診療科と地域別の医師の割合を示したグラフ。

実際、美容外科医は東京や大阪といった大都市に集中しており、この傾向が続けば地域医療が立ち行かなくなる恐れもあると指摘します。