【怒りポイント3】ここが変だよガソリン10円安

今回のガソリン価格10円引きは、本当にお得なのか、経緯を振り返ってみましょう。政府によるガソリン補助は、2022年1月に原油価格が高騰したことを受けてスタートして以来、内容が複雑に変化し、3年半の間に実に11回も変更されてきました。

2023年9月からは「ターゲットプライシング」という方式で、ガソリン価格を特定の目標価格に設定して、その価格に収まるように補助金の額を調整するというものです。これにより、実際の小売価格は比較的安定していました。グラフで見ると、本来の価格(赤い線)が変動していても、ターゲットプライシングで抑制された価格(青い線)は一定ラインを保っているのがわかります。

では新しい制度は?資源エネルギー庁は「これまでより負担が軽減します」と説明をしていますが実態は異なります。これまでの制度ではほぼ固定されていた価格が、今後は「市場価格から10円引き下げる」という形で、市場価格に連動する方式に変わるため、むしろ上昇することも考えられるということです。

【怒りポイント4】市場経済を歪める政府の価格介入

4つ目は専門家が「オイルショックの時や第二次世界大戦の戦時中でさえやらなかった」と指摘する行為、国によるガソリン価格への介入です。

価格を特定の水準、1リットル185円といった目標価格に固定するような手法は、自由市場経済の大原則を実質的に放棄していた、とも指摘されます。通常、市場経済においては、ガソリン価格が高騰すれば、人々は使用を控えるようになり、その結果として需要が減少して価格は自然と下落に向かいます。逆に価格が下がれば需要が増え、再び価格が上昇するという、価格の自動調整機能が働くのが基本です。しかし専門家によれば、ガソリン価格についてはこの数年間、こうした市場メカニズムが機能しない状態が続いていたのです。