知られざる“犠牲者” 婚約者を亡くし…

脱線事故で直接亡くなったのは107人。しかし、この事故が知られざる“犠牲者”も生んでいたことはあまり知られていません。

荒川直起さん
「これがね、“妹っぽい”んですよ。この笑い顔が好きなんですよ」

大阪市の荒川直起さん(58)。大切な妹が脱線事故の翌年、自ら命を絶ちました。

荒川直起さん
「会いたいですよ。そっくりな人を見ると、たまに街でよく似た感じの人みたらね、アッて思う時があるもんね」

直起さんの妹・荒川由起さん(当時32)。由起さんには13年間同棲していた婚約者がいましたが、脱線事故で死亡しました。

夜勤明けから帰宅する際、普段乗る1本後の電車に乗った結果、帰らぬ人になったのです。

事故がなければ翌月に婚姻届を出す予定だった2人。打ちひしがれた妹の姿や、言葉が直起さんの脳裏から離れません。

荒川直起さん
「記憶に残っているのは、最後まで部屋の中が、その日(事故当日)のまま、何も変えずに。冷蔵庫の中にアイスクリームがあって、『こんなん食べんねや、甘いの嫌いやのに』って、『違う、それはあの子(婚約者)が食べたやつや』って。

彼女が言っていたのは『私は妻や』と。なおかつ遺族だというのをわかってほしいというのは言っていた。私は妻やって」