大分県のかぼすブランド魚ブリ、ヒラメ、ヒラマサに続き今度は「かぼすフグ」が誕生しました。11月1日に初出荷されますが、高級魚の需要が回復しつつある中で生産者は期待を寄せています。

佐伯市蒲江にある「高瀬水産」ではおよそ700匹の「かぼすフグ」を養殖しています。

この陸上養殖施設では出荷する前の15日間、カボスをジュースにするため絞った後に残る実と皮を通常のエサに混ぜて養殖のトラフグに与えています。

県内のトラフグ養殖は佐伯市だけで行われていて2020年の生産量は269トン、生産額は5億9500万円で、いずれも全国3位です。

なぜ、養殖トラフグのエサにかぼすを混ぜたのでしょうか。

(高瀬水産・高瀬興治社長)「魚屋さんに何もしなくても美味しいから下手にあたるよりかはそのままの方が良いですよって言われてきましたが、大分のフグという差をつけたかった」


高瀬さんはカボスに含まれるリモネンという香り成分が身や白子に含まれることでさっぱりとした味わいに仕上がったと話します。

(高瀬興治社長)「今年は成長が良くて身にしまりがでて、かぼすフグとしていい商品になっています」

県や県漁協は2007年からかぼすブランド魚の研究に着手。全国区でも知名度が高いブリやヒラメ、ヒラマサに続けと第4弾の研究を進めた結果、2015年から7年かけてようやく2022年、かぼすフグが完成しました。

(高瀬興治社長)「長かったですね。6、7年間いい結果が出るのを待ち続ける状態で、柑橘類を与えすぎると肝機能が低下して体調を崩すので、一番良いところで止めるのが難しかった」

2022月19日には養殖に成功した漁業関係者が県庁を訪れ、来月1日の初出荷を広瀬知事に報告。県水産養殖協議会トラフグ養殖部会ではシーズンの2023年2月にかけておよそ3トンの出荷を目指しています。


(高瀬興治社長)「生産者の気持ちが一つになった魚になっているので、その気持ちが魚屋さんやお客さんに伝わったり、好んでかぼすフグを求められるように出荷できれば一番いい」

7年に及ぶ研究で品質の向上を成し遂げた「かぼすフグ」。新たなかぼすブランド魚として期待が高まっています。