絶望のどん底のような時代「生まれてくる人は全部希望」

加藤さんは、自らが生まれた街、ハルビンへの思いを歌にしています。

(♪「遠い祖国」)
「生まれた街の話をしよう そこは遠い北の街 戦争の中で生まれて そして
幼い日に追われた街」

今年で終戦から80年。引き揚げの際、加藤さんの母親は絶望ではなく、むしろ希望に満ち溢れていたといいます。

(加藤登紀子さん)
「こんな私みたいな2歳みたいな子がいたっていうことは、さぞかし母にとっては大変だったと思うのに、(引き揚げ当時のことを)とっても嬉しそうに話してくれるのが不思議だなと思って。そしたらあなたが希望だったのよって。もうそれこそ1943年、絶望のどん底のような時代です」

「あなたが希望だったのよって言ってくれました。どんなときも生まれてくる人は全部希望なんですよ。どんなときにも。これからという時間が始まろうとしている。何かが終わろうとしているときも始まろうとしているんだということをすごく感じながら、生きているということだけで最高だ。素晴らしいのよって、それは私の心の中に焼き付きました」

加藤さんは、今でも戦争の渦に巻き込まれたハルビンの人々のことを想い、歌っています。

(♪遠い祖国)
「自由の風に胸を躍らせ この街を愛した人々 戦争の嵐にもてあそばれて 運命にひきさかれた街」