消費税減税のデメリットは

その一方、消費税減税の難しさは、これまでも度々指摘されている通りです。

まず、財源の大きさでしょう。今や、消費税は基幹3税(所得税、法人税、消費税)の中で最大の税目です。食料品の軽減税率をゼロにすると、1年で5兆円です。恒久減税となれば、やはり5兆円分の財源を見つけなくてはなりません。

そこで、家計支援や需要創出が必要な時期だけ時限で、と言う話が出てくるのですが、いったん引き下げた税率を、1~2年後に再び上げることには、相当の政治的困難が伴います。ガソリンの補助金さえ打ち切れないのに、例えば、食料品の消費税率をゼロから8%に上げることなど、現実的には、ほとんど不可能なような気がします。

また、すべての国民が対象になるということは、高所得者にも家計支援が行われると言うことになるので、焦点が絞り切れていないと言った批判もあるかもしれません。

さらに税率変更には、レジや企業会計のシステム変更など、相当の準備期間とコストがかかります。税率変更に伴う、買い控えや買いだめと言った反動もそれなりにあって、実体経済のかく乱要因になり得るでしょう。

税制改革の中で消費税の位置づけを

こうして見てみると、消費税の見直しは、短期的な経済対策として行うよりは、税制全体の改革の中で、改めて位置づけを考える方が適しているように、私には思えます。インフレ時代の到来や、格差拡大が加速する中で、例えば、食料品の8%が高過ぎはしないのか、所得税とのバランスで適当なのか、といった点は、大いに議論されるべきでしょう。もちろん、緊急性の高い、経済対策として今、議論すべきだと言う考え方もあり得るでしょう。

いずれにせよ、以上のような、メリットとデメリットを勘案した上で、各政党がそれぞれの提案を行い、最終的には、国民が「判断」すべき課題だということになります。

播摩 卓士(BS-TBS「Bizスクエア」メインキャスター)