今、家計支援が必要な時か
想定以上のインフレが続き、世帯によっては困窮の度が増していることや、今後、トランプ関税政策の影響で、需要の減退が顕著になって、経済成長が押し下げられる事態になることを想定すれば、何らかの対策が必要だと言う考え方には一理あると言えるでしょう。
ただ、コロナ禍のように一気に需要が喪失するような状況とは少し違っているのではないでしょうか。まず、現状と目的の共通認識が必要なように思います。
仮に今すぐ、「家計支援」、「需要創出」が必要だとして、それには、いくつか選択肢があります。現金給付や、昨年度行われた所得税減税(定額減税)、そして今議論されている消費税減税などです。財政が出動して家計に直接働きかけると言う意味では同じですが、それぞれに一長一短があります。
消費税減税のメリットとは
では、消費税減税が優れているのは、どういう点でしょうか。
まず挙げられるのは、消費をするすべての人、事実上、すべての国民に恩恵が及ぶ点です。所得税減税は所得税を払っていない人などには恩恵が及ばないので、別途、給付金を考える必要がありますが、消費税減税にはそうした必要がありません。所得制限もありません。消費額に応じて減税されるのですから、ある意味、「公平」です。
次に、需要創出の効果が大きいことです。給付金や所得税減税では、一部が貯蓄に回ってしまい、すべて消費されるわけではありません。しかし、消費税減税は、消費しなければ、そもそも発生しない減税ですので、需要創出の乗数効果が極めて高いのです。もちろん消費税減税に見合うお金を貯蓄に回すことは、理屈としてはあり得ますが、消費税減税でお得になった分、余分に購入したり、少し贅沢をしたりというように、消費が増える方が、消費者の感覚に近いのではないでしょうか。
また消費税が元々、逆進性の強い税制、つまり低所得者には相対的に負担が重い税制なので、消費税減税によって、その逆進性を緩和することは、中低所得者の家計支援という理にかなっていると、言えるのではないでしょうか。