なぜ東南アジアの若者が佐賀へ?
野村:
その佐賀アジアドリームズに、東南アジア出身の選手が多く所属しているとのことですが、彼らはどのようなモチベーションで集まっているのでしょうか?
楢崎:
まずひとつには、日本の高い野球レベルを体感し、技術を習得したいという目的があるでしょう。そして、習得した技術を自国に持ち帰り、母国の野球の発展につなげたいという強い思いもあると考えられます。
野村:
もともと母国でも野球をプレイしていた選手たちですか?
楢崎:
はい。しかし、育成システムが未整備であったり、プロリーグが存在しない国も多いのが現状です。特に20歳や21歳を過ぎると、その先で野球を続けられる環境がない、という現実があります。
野村:
そもそもプレイする環境自体が少ないのですね。
楢崎:
そうなんです。ただ、身体能力が非常に高い選手は多くいます。野球を諦めずに続けられるよう、日本のプロ球団として佐賀アジアドリームズのようなチームが彼らをスカウティングし、夢をつなぐ場を提供しているという側面があります。
彼らは佐賀を拠点に、地域貢献や社会貢献活動も行っています。そのため、地元の人たちが各国の選手たちを応援するという、良い流れも生まれています。
野村:
それは面白いですね。インドネシアドリームズからアジアドリームズへ名称変更したということは、この仕組みが機能し、インドネシア以外の国からも選手が集まり、多国籍化が進んでいるということでしょうか?
楢崎:
その通りです。先日発表された情報では、インドネシア4名、スリランカ4名、フィリピン4名、パキスタン2名、カンボジア2名に加え、ベネズエラやドイツといったアジア以外の国の選手も加入したようです。日本人選手も7名在籍しています。