SNS発信の心がけ、「事実を冷静に」、「自分の負の感情を出さない」「可能な限り感謝を」
災害情報の発信を始めるようになってからも、藤本さんのSNSフォロワーは減ることなく、新たに町野町にゆかりのある方を中心として、たくさんの方々にフォローされています。
藤本透さん
「お仕事用として10年間運用していたアカウントで、能登半島地震について発信すると決めた時は、これまでのフォロワーさんたちが離れていくことを覚悟していました。私がこれまでの発信で心がけてきたことは、「優しい世界」であること。お仕事の宣伝やお知らせの他に、見ていてちょっと嬉しくなることを投稿していました。災害情報を発信する際も、この「優しい世界」を出来るだけ保てるように心がけました。事実だけを発信し、自分自身の負の感情を出さないこと。発信の際に最も気をつけたことのひとつです。」
2024年4月、北陸放送が藤本さんへ取材を行った際、NEWSDIGを知った藤本さんから「NEWSDIGで毎月、ボランティアで記事を書きたいのですが可能でしょうか」と相談があり、翌5月からは、MRO NEWSDIGで、毎月1度の連載がスタート。
「情報ボランティア」として、毎月、町野町の今、能登の今を発信しています。
この連載は、発災後、いち早く町野町に駆けつけ、現地の写真や情報を共有してくれた方や、帰省時に被災し、避難された方、町野町出身の方、町野町で暮らしている方々などの協力で作成されています。
知り合った人々から寄せられる情報には、人間の悲喜こもごもが含まれていますが、現場で何が起き、何に困っているのか、必要な情報、物を中心にしていて、自分の感情を交えることはありません。
プロのライターならば、目を引く書き方や感情を刺激する文章、構成をすることはできるはずですが、藤本さんにそのような考えはありません。あくまでも地道な発信を大切にしています。
藤本透さん「私が私らしくあるために、負の感情に支配されないように、発災当初は特に細心の注意を払いました。そして、可能な限り感謝の気持ちを伝えることを意識して発信を続けています」