相互関税の「上乗せ分」が一時停止となり、アメリカと各国との交渉がスタートする。「日本が列の先頭」にいると話したベッセント財務長官の狙いは?交渉のカギは?
方針転換の影に「2人のキーマン」
相互関税の「上乗せ分」を、発動からわずか13時間後に「90日間一時停止にする」と表明したトランプ大統領。

背景にあったのは、株安やドル安に加えて、安全資産とされた国債まで売られる「トリプル安」の発生だ。これは“金融危機に発展するおそれ”のある動きで、トランプ氏も金融市場の動きが判断材料になったことを認めた。
トランプ大統領(9日):
「債券市場は難しい。私も注視していた。みんな少し過剰に反応していると思ったんだ。神経質になりすぎ、怖がりすぎだ」
その方針転換の影に【2人のキーマン】をあげるのは、経産省米州課長などを歴任し日米の通商交渉を最前線で担当してきた細川昌彦さんだ。

今回一時停止となったのは、ベッセント財務長官が主導した「上乗せ分」で、細川さんは「もともとベッセント氏は『関税は交渉のための道具』と言い続けてきたので、いずれこうなると思っていた」と話す。
一方、ナバロ大統領上級顧問が主導した全世界対象の「10%の一律関税」は維持された。

『明星大学』経営学部教授 細川さん:
「ナバロ氏に乗っかってトランプ大統領が発表し、マーケットが危ないというシグナルが出てきたらベッセント氏が出てきて調整していく。この役割分担がきっちりと機能している。2026年の中間選挙に向けて回復不能なダメージにならないうちに手を打つのがベッセント氏の役割。マーケットを見ながら調整していくのも織り込み済みだ」