相互関税は「めちゃくちゃいい加減」

国・地域別の相互関税を見るとアジア諸国に厳しいものとなっている。
▼カンボジア⇒49%
▼ベトナム⇒46%
▼スリランカ⇒44%
▼中国⇒34%
▼台湾・インドネシア⇒32%
▼韓国⇒25%
▼日本⇒24%
▼EU⇒20%
▼イギリス・ブラジル・オーストラリアなど⇒10%
※鉄鋼・アルミ・自動車・医薬品・半導体・エネルギーなどは対象外
※カナダ・メキシコは対象外
では、その相互関税はどのように計算されたのか?

USTR(米通商代表部)が明らかにした計算式は、
【相手国との貿易赤字額】を【相手国からの輸入額】で割り、それを「ディスカウント」として半分にするという杜撰なもの。
経産省米州課長などを歴任し、鉄鋼・自動車など日米の通商交渉を最前線で担当してきた細川昌彦さんも「めちゃくちゃいい加減」と呆れ顔だ。

『明星大学』経営学部教授 細川さん:
「本来は商務省やUSTRの専門家が計算してやらなきゃいけないが、イーロン・マスク氏によって早期退職に追い込まれて人手が足らないし、相手の国や地域は60もある。そこで便宜的にとナバロ上級顧問が出した案に従って計算すれば、ちょうどトランプ氏がイメージしているような数字に近いなと。ただ、この数字にこだわっているわけではなくて、とりあえずのスタート台で、ここから交渉が始まる」
大事なのは「トランプ氏との会話」
東南アジアの国々は、中国からの迂回輸出の影響でアメリカの貿易赤字が大きくなり相互関税で高税率となっているが、すでに対策に動いている。
細川さん:
「ベトナムはトップがすぐにトランプ大統領に電話をして『アメリカからの輸入品全部関税ゼロにします』とまで言っている。だからベトナムとアメリカの間で協定を結ぶ交渉をしましょうと。カンボジアも関税を下げると表明している。なので厳しい対応をしているEUとか中国だけを見てはだめで、他の国々はそういう動きもしているということも併せて見る必要がある」
一方、日本はというと、3日までに石破首相が示した方針は2つ。
▼関税の除外を働きかける
▼影響を受ける中小・小規模事業者向けに日本政策金融公庫のセーフティーネット貸付の利用条件の緩和などで国内対策をする

しかし、「大事なのはトランプ氏との会話」だという。
細川さん:
「今のトランプ政権は、トランプ大統領が決めてる。ラトニック商務長官が決めているのではないから経産大臣がいくら訪米をしたり電話をしたりしても、ほとんど意味がない。だからベトナムのように即座にトランプ氏と会話をしなきゃいけないのに、未だにしていない。石破総理にしかやれないことをやってない、これが問題」