国が「渋滞対策のため」につくった停留スペースですが、バス事業者が「国の渋滞対策に納得していない」ため、使われていない現在の状況に、公共交通政策の専門家は「ほかのドライバーやバスの乗客など、道路利用者が置き去りにされている」と指摘します。

(公共交通政策に詳しい・名古屋大学 加藤博和教授)
「バスの運行だけが(国の)道路整備ではなくて、他の車に乗っているみなさんが『渋滞でちっとも進めないことが嫌だから何とかしてほしい』ということ」

「バス会社ともよく話をして、どこにバス停を置くか、その場合バスベイ(停留スペース)をどうするかは、基本的に事前に話し合っているはずなのであまり起こらない」

問題となっている国道10号の渋滞対策は鹿児島の長年の課題です。

国は1975年に鹿児島市小川町から吉野町花倉までのおよそ5.3キロを繋ぐ「鹿児島北バイパス」の整備に着手しました。事業費はおよそ555億円となってますが、50年経った今でも完成時期は未定です。

(名古屋大学 加藤博和教授)「現状で解決できることは何かを考えてやっている道路改良だと思うので、時間がかかってる、あるいは時間がかかりそうなものをスピードアップするとしたって今の問題は相変わらず解決しないので、今できる方法で解決すべきであって、(バス事業者は)いつできるかわからないものができないと駄目みたいなことは、言うべきじゃないんじゃないか」

国道事務所は「鹿児島交通が求めている渋滞対策には取り組んでいる」としたうえで、「『強制撤去』以外の形で、1日でも早く問題を解決したい」としています。県内の交通の要所でもあり新駅の開業などでにぎわいをみせる仙巌園エリア。このバス停の行く末に注目が集まっています。