「ジェネリック〇〇」のルーツは新海誠?
comugi:
やはり言葉が生まれると力を持ちます。もともとジェネリックは冒頭で述べられたように後発医薬品の話でしたが、「ジェネリック〇〇」と多ジャンルでも表現された経緯を調べてみました。
どうやら新海誠監督のアニメの『君の名は。』が大ヒットしたことをきっかけに、『君の名は。』と作風が近い「新海誠風」のアニメーション映画が続出しました。それをニコニコ動画などのサブカルチャーの人たちが「ジェネリック新海誠」という表現を使ったことから派生したという説があります。
野村:
最近のネットカルチャーなどの影響もありますか。
comugi:
間違いなくショート動画の影響があります。例えばショート動画で商品企画「A対B」のような動画を想像してください。すごく動画映えしやすいですよね。
そうなると、先ほど話した「デパコスVSプチプラコスメ」は非常にわかりやすい構図です。ドン・キホーテにジェネリック香水があったときに、なかなか店頭では「シャネルの香水のジェネリックです」とは伝えられません。
それをある意味でインフルエンサーやキーオピニオンリーダーと呼ばれる化粧品に詳しい方々が動画として配信します。
野村:
メーカー側はおそらく、商品開発の段階では高級ブランドを想定競合として企画していますが、それを効果効能として大っぴらに表現するわけにいかないわけですよね。
comugi:
ブランドに対して言っちゃうと、そのブランドから不信感を持たれますよね。
野村:
そうですね。だからバズるコンテンツのフォーマットとしてもよくできてるわけですよね。
comugi:
いくら「高品質です」と訴求しても伝わりにくいですが、「1万円のシャネルのフレグランスがなんとドン・キホーテで2000円で買えます」と表現したら、訴求として強いうえに誰でもわかります。
韓国コスメも今人気で、K-POPなどの韓国の文化産業のひとつとして輸出されている状況です。もともと韓国の化粧品産業はOEM(委託者のブランドで製品を生産すること)から始まっています。それが今や韓国に技術が蓄積し、高品質なものを作れるようになっているため、韓国の無名の高品質ブランドが立ち上がっている事象が発生しています。
かつては中国製は品質が「低いけれど安い」というイメージが広がっていましたが、今や中国製品の方が品質が良い場合もあります。
テレビのメーカーも様変わりしていて、日本のテレビがほとんど売れなくなっている背景には、この1~2年で中国系の液晶テレビメーカーが一気にシェアを取ったというニュースもあります。このような現象が起きるほど大きな消費や産業が成熟化していることが大きなポイントになると思います。