Z世代を中心に広がるキーワード「ジェネリック〇〇」をご存知でしょうか?
「ジェネリック」といえば、医薬品の分野で使われている言葉ですが、価格は手頃でありながら品質の良い代替品を指す言葉として、若者たちの間で大きな注目を集めています。

「安かろう悪かろう」とされてきた低価格の商品のなかでも、品質の高さが注目され、消費者の需要がシフト。いまや「無印良品」も値段が高いと受け取られ、「ジェネリック無印良品」と呼ばれる商品が話題になっています。

一体なにが起こっているのか? リサーチャーのcomugiさんとPodcastプロデューサーの野村高文が考察します。

<東京ビジネスハブ>
TBSラジオが制作する経済情報Podcast。注目すべきビジネストピックをナビゲーターの野村高文と、週替わりのプレゼンターが語り合います。今回は野村による音声コラム、2025年2月23日の配信「Z世代に『ジェネリック◯◯』が大流行。マーケティングはどうなるのか?(comugi)」を抜粋してお届けします。

「ジェネリック商品」とは何か?

野村:
Z世代の間で「ジェネリック〇〇」という言葉が今流行っています。「ジェネリック」とは医療業界の言葉で、新薬の特許が切れた後につくられる、同様の効き目がある、比較的安価な後発の医薬品を指す言葉です。そのジェネリックという言葉が「代替品」を指すスラングとして広がっています。その背景などをリサーチャーのcomugiさんに伺います。

comugi:
「ジェネリック〇〇」の例として、メディアで話題になったものだとディスカウントストアのドン・キホーテの取り組みで「ジェネリック香水」と呼ばれるものがあります。

高級な香水といえばシャネルなどがハイブランドとして知られていますが、その「ジェネリック」としてほぼ同じ香りをほぼ同じ成分で再現した商品を、「ジェネリックフレグランス」というシリーズで2000円前後で販売しています。

高級ブランドの香水は1万円前後はするので、価格は5分の1です。これが若者に人気で、発売から約1年半でシリーズ累計5万本を超えるヒット商品になりました。

野村:
これは結構面白い現象ですね。もともと香水のような商品は、原価はどれくらいなんだろうかといわれていました。つまり、夢が詰まっていたり、パッケージに値段がついていたりして、プロダクトの原価はかなり安いといわれていた印象です。そこをドン・キホーテが逆手に取ったことですね

comugi:
そうですね。香水は非常にわかりやすい例です。他のジャンルで、同じ成分のものが比較しやすいものだとコスメ(化粧品)です。この「ジェネリックコスメ」もとても流行っています。

高級なコスメといえば、デパートの化粧品売り場で扱われているハイブランドなどが「デパートコスメ」と呼ばれ、YouTubeなどでも「デパコス」としてひとつのジャンルになっています。それに対してジェネリックコスメという言葉ができる前は、「プチプラコスメ」と呼ばれていました。

プチプラとは、小さな(プチ)価格(プライス)という意味の和製洋語なのですが、それが進化したようなものが「ジェネリック〇〇」というジャンルです。

野村:
プチプラという言葉は確かにずっと前からありましたね。ただ、「安かろう悪かろう」というイメージが少しありました。ジェネリックと言われると、成分が一緒なので品質も良いイメージもあります。

comugi:
言い換えにも近いことですが、コスメにはもともと「成分指名買い」というジャンルがあります。例えば「ビタミンCが配合されている」など特定の成分を求めてコスメを選ぶ現象です。

「同じ成分だったら同じ商品だ」というのはまさにジェネリック医薬品と同じ発想です。このような発想で消費者が様々なものを買うようになったという話ですね。