アメリカ 自動車に25%追加関税 日本のメーカーどう対応?

今後の日本車メーカーへの影響について自動車業界を取材するTBS経済部の梅田記者は...

TBS経済部 梅田翔太郎記者:
メーカー各社の受け止めとしては、大変混乱しているという状況。日本政府として譲歩がどれだけ引き出せるのかを注視している。ある自動車会社の幹部の話だが、トランプ政権、最長でもあと4年間しか続かないと。そういった中で自動車の製造拠点を新たにアメリカでつくったり拡充することはトランプ政権以降を見越してでも意味があるのかという判断が難しくなっていて、簡単に現地生産の拡充も決められるものではないと言っている。

イタリアの高級車メーカー・フェラーリは3月27日、アメリカで販売する車について、最大で10%値上げする方針を明らかにしたが、日本車はなかなか価格転嫁もできないという。

TBS経済部 梅田翔太郎記者:
日本メーカーがアメリカ市場で強みを持っているのはハイブリッド車。ハイブリッド車は当然ながらガソリンエンジン車と比べて価格は高いので、そこからさらに価格が引き上げてしまうとお客さんが一気に離れてしまうかもしれない。なので、メーカーは価格の引き上げというのはすごく慎重な姿勢を示している。

アメリカ 自動車に25%追加関税 なぜこのタイミングで発表?

ワシントン支局の涌井記者に最新情勢を聞く。

――なぜ自動車だけ先行発表になったのか?

ワシントン支局 涌井文晶記者:
自動車関税発動は4月3日からということで、2日に発表書を予定している相互関税と併せて発表してもよさそうな内容だった。なのでなぜ自動車関税だけ前倒しにしたのかというのははっきりしないが、今週アメリカでは、トランプ政権の閣僚らが軍事政権の軍事作戦の機微な情報を民間のメッセージアプリでやり取りして、その内容が漏洩したという問題がずっとトップニュースとして報じられていた。大きなニュースになる自動車関税の発表で、その問題を目立たなくしようとした可能性は一つ考えられる。

また、今週の前半には相互関税が対象国を絞った措置になり、品目別の関税の発表は先送りになるのではないかという観測報道が出た。市場では一時トランプ大統領は少し関税についてマイルドになったのではという期待感も出ていた。トランプ氏としてはそうした見方を打ち消すために本丸といえる自動車の関税を発表した。貿易赤字の削減や国内産業の復活のために関税を使うという「アメリカ・ファースト」の姿勢を強く打ち出したという見方もできる。

――アメリカ国内の反応はどうか?

ワシントン支局 涌井文晶記者:
アメリカでの自動車が大幅に値上がりするのではないかという、懸念が広がっている。平均で1割以上値上がりし、平均で5000ドル=75万円ぐらい値上がりするのではないかというレポートも相次いで出ている。また、部品への関税だが、業績に悪影響が出るのではないかという懸念が広がっており、株価も下落している。一方で全米自動車労働組合は歓迎のコメントを出しており、トランプ政権としてアピールしたい労働者層には一定の評価がされているという側面もある。

自動車に25%追加関税 「相互関税」「品目別」どうなる?

――4月2日には相互関税発表がある。残されている品目別関税はどうなるのか。

ワシントン支局 涌井文晶記者:
まず品目別の関税について、トランプ大統領は、少し前に医薬品に対する関税をまもなく発表すると話した。これは2日に先立って発表される可能性もある。また、相互関税について、日本は対象になる可能性が高いとみられている。シンクタンクのハドソン研究所は、日本は10%から20%の関税を課されるのではないかというレポートを出している。トランプ氏は相互関税について各国との交渉には応じると話したが、交渉は2日に正式に発表した後になるとも説明しており、詳細が発表される前に対象外にしてもらうという交渉をするのは難しそうだ。