バリカンのスイッチを入れた瞬間パニックに
赤松さんは昔から子どもが好きでした。小学校の教員を目指すも、教育大学に入れず断念。知人に誘われ、美容師の道に進みます。
30歳で独立し経営が軌道に乗り始めた頃、発達障害のある子どもの母親から、息子の髪を切る美容室がなく、困っているという相談を受けました。軽い気持ちでした。
(赤松隆滋さん)
「バリカンのスイッチを入れた瞬間、その子がパニックになったんです。聴覚の過敏と極度の緊張状態だった。自分でもショックで、発達障害について勉強しようと思った」
発達障害について独学で学び、応用行動分析学という心理学の理論に基づいた手法を取り入れ、ノウハウをためていきました。
スマイルカットと名付け、2014年にはNPO法人「そらいろプロジェクト京都」を設立。
店が休みの日は全国を回って講習会を行い、少しずつ「仲間」を増やしてきました。今では32都道府県、94店舗の美容室がスマイルカットを実施してくれています。
ただ、赤松さんは「まだまだ受け皿になり切れていない」と言います。
2024年には障害者差別解消法が改正され、障がい者への「合理的配慮」の提供が義務化されました。事業所や行政機関に対し、正当な理由なく障害者へのサービス提供を拒否したり、場所や時間を制限したり、不当な扱いをすることを禁じました。
スマイルカットを通じて、社会をもうちょっと優しくしたい―。赤松さんの願いです。














