店に入ることには慣れたげんきくん でも・・・

5歳のげんきくん、その後も何度か赤松さんの店を訪れますが、散髪はできません。ただ店に入ることは、もう慣れたようです。

恐怖心をなくすため、家でも櫛を通す練習をしてほしいと、赤松さんは母親に伝えていました。

げんきくん7回目の来店。初めて来てから、7か月が経っています。

この日は自分から店に入りました。散髪台ではなく待合のロビーで、赤松さんはげんきくんの髪を切り始めました。

ところが、げんきくんは何かを訴え、声を上げ続けていました。母・千明さんは「別人みたい」と喜ぶ一方で赤松さんの表情は晴れません。

「嫌がっているのが…。全くスマイルカットじゃない。あの子の気持ちに立った時に、これが良かったのか」

8000人を超える子どもたちの髪の毛をカットしてきた自負があります。それでもうまくいかない時がある…。

げんきくんに寄り添えていたのだろうか。赤松さんは自問を続けます。