TikTok買収を目指す大富豪の挑戦

SNSを取り巻く話題でもう一つ注目を集めたのが、TikTokの行方だ。

トランプ大統領は、TikTokの米国事業の売却に関する決定を4月5日まで延期。その中で、買収候補者の一人として名前が挙がっているのが、アメリカの大富豪フランク・マッコート氏だ。

マッコート氏はSXSWに登壇し、「現在のインターネットがビッグテックのような一部のプレイヤーに権力が集中し、監視社会になってしまっている」と指摘。

アメリカで1億7000万人のユーザーを抱えるTikTokを買収し、ブルースカイのような分散型のSNSに移行させる構想を明らかにした。

マッコート氏らの団体は、TikTokアメリカ事業の買収のために、すでに投資家から200億ドルを調達。会場に集まった若いインフルエンサーや中小事業者たちは熱心に聞き入っていた。

Z世代が挑む新しいSNSの形

SXSWでは、ビッグテックに挑戦するZ世代の姿も印象的だった。

ミズーリ州の大学4年生、エマ・レンブケさんは、12歳の時にInstagramを使い始めて摂食障害になった経験から、「ログオフ運動」を立ち上げた。

現在、エマさんはZ世代のための新しいSNSを作ろうと活動している。

Z世代の意見を集め、開発者たちにプロトタイプを作ってもらい、ベンチャーキャピタルなどからの資金調達で規模を拡大する計画だ。

「新しいビジネスモデル、新しい投資、そういったものが必要です。多くの創造性が求められますが、それこそが私たちの世代が最も得意とすることです」とエマさんは語る。

ビッグテックが圧倒的な資金力で市場を支配する中、こうした新しい試みが実を結ぶかどうかは未知数だ。

しかし、エマさんは「私たちは1万人だけが使うようなものを作ろうとしているわけではありません」と意気込む。

年齢に関係なく、「行動する人たち」に大きな舞台で話す機会が与えられる様子からは、アメリカらしさが感じられた。

ビッグテックへの批判が高まる中、新たな可能性を秘めたSNSの誕生に、世界中から注目が集まっている。