テクノロジーの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」で注目を集めたのは、ビッグテックへの反発から生まれた新興SNSの動きだ。

X(旧ツイッター)の社内プロジェクトから誕生した「ブルースカイ」が急成長を遂げる一方、独自のSNS開発に挑戦するZ世代の若者も登場。ビッグテックの支配に抗う新たな潮流が見えてきた。

米国テキサス州オースティンで開催されたSXSW。テクノロジーと音楽、映画の祭典として知られるこのイベントには、例年世界中から約5万人規模の参加者が集まる。1000以上の講演が行われ、コンサートや映画上映も多数開催される中、今年のトレンドとして浮かび上がったのが「SNS」だ。

特に注目を集めたのは、メタやグーグル、Xなどのビッグテックに対する批判の高まりと、それに対抗する新興SNSの台頭である。

「ビリオネア・プルーフ」を掲げる「ブルースカイ」

SXSWの基調講演に登壇したのは、Xの対抗馬とも言われる新興SNS「ブルースカイ」のジェイ・グレーバーCEOだ。

ブルースカイは、もともとツイッターの社内プロジェクトとして始まったSNSで、2024年2月にサービスを開始した。

見た目はXと同様の短文投稿型だが、サービスのサーバーを複数に分けることでデータが分散される仕組みを採用。ユーザー自身が情報を管理できる「非中央集権型」のSNSとして注目を集めている。

イーロン・マスクのツイッター買収後にユーザーが殺到し、わずか4ヶ月でユーザー数が3200万人を突破。倍増のペースで成長を続けている。

グレーバーCEOが講演で強調したのは、「ビリオネア・プルーフ」という特徴だ。これは「億万長者に耐性がある」という意味で、分散型かつオープンソースの仕組みを採用しているからこそ実現できるという。

「もし億万長者がやってきて、ブルースカイを買収したり、乗っ取ったりしても、ユーザーは自分のデータを持って別のアプリに移行できる」とグレーバーCEOは説明した。

SXSWの運営幹部も、「ブルースカイには、私たちが2007年に感じていたSNSの可能性を体現している」と評価。イーロン・マスクによって変貌を遂げたXを意識した発言と受け取れる。