第三者委の報告書とフジテレビの対応を注視
3月21日現在、多くのスポンサー企業がフジテレビからCMを降ろしたままだ。広告関係者によると、1月末にフジ側が想定していた以上にCMキャンセルが出ているようだ。
スポンサー企業側は、まもなく提出される見込みの第三者委員会の報告書の内容で何が指摘されるのか、そして、フジテレビが被害にあった女性への人権上の対応の問題や経営陣のガバナンス問題などについて、どのような改善策を示すのかを注視している。
F社の広報担当者はこう語る。
「第三者委員会の報告書の内容次第。納得できる説明と再発防止策が示されなければ、CM再開は難しい。また、再開となれば、その根拠も求められる」
広告関係者によると、複数のスポンサー企業からは、「フジテレビの経営陣の刷新」や、「財界幹部からの容認発言」が再開の条件として必要だとの声も上がっているという。スポンサーの全面復帰への道のりは険しそうだ。
ただその一方で、「フジテレビとは長い付き合いがあり、いい番組なら提供したい。あまり長く見送りを続ければ、スポンサー枠が維持できなくなる」(G社)と提供再開を模索する企業があるのも事実だ。
今回の問題は、人権をめぐるメディアとスポンサーのあり方、テレビの今後に大きな問いを投げかけている。現代の企業は、人権デューデリジェンスを徹底し、それをどう実践していくのか、問われている。
第三者委員会の報告書とともに示されるであろう新生フジテレビの対応は、テレビ業界全体にも影響を与える可能性が高い。視聴者にとって信頼できる、価値あるメディアが生まれるための第一歩となると信じたい。
〈執筆者略歴〉
片山 薫(かたやま・かおる)
TBSテレビ報道局 経済部デスク
1978年生まれ
2001年TBS入社 情報番組・報道番組のディレクターなどを経て
2009年に経済部記者
2015年に経済部デスク
その後、朝の情報番組のプロデューサーやnews23編集長などを経て
2023年から4度目の経済部デスク
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














