「おはようございます、お願いします」
東京農業大学から実習に来ている学生たちに加え、康代さんの姉・統子さんの6人で作業に取りかかります。
まずは、前の日に煮ていた大豆を釜から取り出す作業です。その重さは、なんと600キロ!これが一番の力仕事なんです。

藤井寛さん
「大豆は大豆でこっちに上げて、必要な煮汁はそっちにキープしている」
この煮汁も味の秘訣。
蔵には蒸気とともに、大豆のほんのり甘い香りが立ち込めます。
豆上げが終わると、すぐにまた翌日に向けて大豆を煮る準備です。
火にかける前に釜に取り付けたのは「ど」と呼ばれる木製の器具。

藤井寛さん
「大豆も300キロから600キロとかに膨れてしまうので、これがないと釜だけだとあふれてしまう」
こうして釜で大豆を“煮る”作り方こそが、団四郎の一番のこだわり。
大豆のうまみを逃がさず、柔らかく溶けやすいみそになるんだそうです。

そんな団四郎にとって釜は“命”ともいえる存在。しかし、この釜は今シーズン、団四郎にやって来たばかりの新顔です。