すでに決して政治的に公平ではない選挙報道

さらに追い打ちをかけるようなことをいえば、現在の選挙報道が必ずしも厳格に政治的に公平であるかと言われれば、答えはノーでしょう。

確かに選挙報道では公示日に届出順で候補者を紹介しますが、選挙中盤以降は情勢報道がなされることで、情勢の優位な順に紹介されるようになり、候補者ごとの尺(時間)も平等な取扱いではなくなることが一般的です。多くの候補者が立候補する首長選挙などでは、必ずしもすべての候補者が平等に取り上げられる「努力」はみられても、選挙戦全体を通して一貫した対応とまでは言えず、選挙戦が進むにつれて、公平性はなし崩しになる傾向があります。

大型選挙になればなるほどそういう傾向が強まるからこそ、私は業界の自主規制でガチガチにしてきた旧態依然の選挙報道のあり方は、決して放送法の要求によるものではなく、従って放送業界そのものが選挙報道のあり方を見直すことで、十分に改善できる余地があると考えています。

この点においては、選挙業界における公職選挙法の定めと解釈が現在のIT技術などに追いつかなくなってきていることに対し、国会議員が公職選挙法の改正に向き合わずに選挙制度を旧態依然のまま放置している現状と重なるところも感じます。