日米首脳会談 積極性が“勝因”で安全保障は「満額回答」 「自分を殺した」石破総理、そしてトランプ氏の“気遣い”

ーー日米首脳会談について。「成功」だと思うんですけども、その下準備をなさったのが長島さんだったと。安倍昭恵さんが先に訪米しトランプ氏と面会するなどの状況も。

長島昭久 総理補佐官:
でもトータルで見ると、昭恵さんが言っていただいたことも生きてるし、すごく良かったし、麻生さんがその前に行かれて関係を作ったことも良かったし。今おそらくですね、石破総理は麻生さんの助言が一番フィットしてる感じがします。実は。結果で見るとそこが一番有効だったような、私はそばにいてそう思います。

成功の鍵は、やっぱり石破総理が…いろんな思いがあったと思いますが…自分の日米同盟を対等にしたいっていう思いもあるし、それからあんまり原則を外れた発言をされるトランプさんに対するある種の苦手意識もあっただろうし、安倍さんとのライバル関係もちろんあったし。しかしそれも全部飲み込んで。私、Xには「無我の境地」って投稿したんですけど。最後はもう自分を殺して、日本を代表して、アメリカの大統領と日本国総理大臣が向き合う、その瞬間を迎えたのが。あんまり美談にしたくはないけど、私はそこが実は一番本質的なところだったと思う。で、そういうのがあったから経産省とか外務省からのいろんな助言をかなり取り入れて。最後は自分の頭で考えられてぶつけましたよね。

今回のやっぱり勝因があるとすれば、やっぱり積極性だと思うんですよ。(USスチールの問題では)こちら側から投資の金額も言ったし。これは、一つ打開したと思いますね。予断を許しませんけど。「1兆ドルの投資にする」っていうのもみんなびっくりしてますけど、もう今までで8000億ドルまでいってますから、そんなに難しい数字じゃない。

それから、これもものすごく微妙な言い回しにしましたけど…防衛費GDP比3%をふっかけられるとかいろんな意見があったじゃないですか。でもそういう数字には全くコミットしないで、石破総理もずっと国会答弁で「数字が問題じゃない」と、「中身が問題だ」って言い続けてきた。

その延長線上で、共同声明の中身を見ていただければわかるように、「27年以降も防衛力の抜本的強化に取り組みます」と。別に何%にするとかじゃないんですよ。引き続き27年度まで頑張るけど「それ以降も頑張る」っていう意思を表明したことは、非常に相手の納得も得られたポイントだと思います。安全保障については「満額回答」だと思います。多国間の取り組み、日米韓、日米豪、日米比、それから日米豪印=クアッド。全部「いや、いいよ、それでいこう」「継続だ」っていう。

ーーこれまではトランプ氏はアジアに対して冷たいという印象もありましたが。

長島昭久 総理補佐官:
そこはですね、もう一言で言うと、やっぱりトランプ政権のトップの人たちの頭の中には、「中国との戦略的な競争をどう進めていくか」「その中で日本の役割、価値、力が必要だ」という。だから我々が何か拍子抜けするぐらい、トランプさんが石破さんに気遣ってましたよね。最初にサインするときもイスを引いたりですね。最後なんか、記者会見のあと握手をしなかったってネットで話題になってたけど、その後待っててグータッチしたりですね。すごく随所にそういうのが見られましたね。それはパーソナルな関係というよりは、国と国、これから大変厳しい国際情勢の中を生き抜いていく上で、日本が同盟国として必要だっていうことのあらわれだと思います。

尖閣列島の5条適用も今回スッと入ってまいりました。心配されていた北朝鮮の非核化のコミットメントも入った。拉致問題に対するコミットメントも。台湾海峡のことも踏み込んだ表現になった。日本を取り巻く環境の平和と安定ということについては本当に満額だったと思います。

問題は、今「1回のオモテ」が終わったところですから…これからどうなるのか。そういう意味では不透明なところは常にある、不確実性がつきまとうトランプ大統領の発信なんだけど、やっぱり本質っていうか骨の部分をしっかりとらえていけば、私は十分対応できると思っています。