告発者の人間性と告発文書の信憑性は別

―――元県民局長の「人間性」と告発文書の「信憑性」がリンクされ、立花氏からもそういった批判が多かったように思います。悪いことをしている人が作った文書だ、という印象。こちらに関して橋下氏はどういう意見でしょうか。

 橋下徹氏「証言する人が本当に怪しい人だったら、信じませんよね?これ普通です。裁判でも証人が出てきたら徹底的にこいつは悪い奴だ、ってことを尋問でやって、こいつの言うことを信じるなと。しかし告発のときには、それはやっちゃいけませんよ、っていうのが原理原則です。悪人であったとしても、悪人は悪人でちゃんと処罰すればいいわけで、その告発は1回ちゃんと調べましょうっていうのが、内部告発の原理原則なんです」

 「というのは、内部告発をする人もルール違反を犯してる場合も多いです。現場にいるから見えるわけだから、外部の人間はわからない。当事者だからこそ不祥事を見られるわけです。そのルール違反に染まってる人が改心して内部告発したときに『こいつはルール違反してるんだ』って言って、悪性立証って言うんだけど、それやってしまったら内部告発が成立しないわけ。だから内部告発に関しては告発者の人間性とか信用性は置いて、告発内容をしっかり調べていきましょう、というのが内部告発の原理原則。こういう原理原則を、増山さんや立花さん、片山さんとか斎藤さんも含めて、ここの理解が足りなかったと僕は思います」

 「ただ、話が違うかもわかんないけど、これは地上波の方で斎藤さんの悪人立証みたいな事を地上波やりすぎたとかあったと思うよ。パワハラ・おねだりのところとかね。やっぱりあそこも冷静にアンケート単なる職員アンケートだけを持ってウワーってやったのは、斎藤さんの悪性立証もやりすぎなところもあった」

 「今度は内部告発者の方の悪性立証もやっちゃいけないところをやりすぎた。もちろん告発者が殺人を犯したとか、刑事罰を犯したってことだったら、内部告発とは別に処罰していかなきゃいけないけど、今回は刑事罰ではなく、県庁の中のルール違反という服務規律違反で処分したわけでしょ。これは本来やっちゃいけないと思う。少々ルール違反をやった人の内部告発であったとしても、しっかり告発内容を調査していきましょうというのが内部告発ですよ」

 「服務規律違反がありましたが、内部告発者でもあるんで、内部告発がちゃんと決着がつくまでは、処分は保留しておきましょう、っていうのが今の流れだと思う。それを斎藤さんがいきなり処分していったわけ。政治的に対立した人を処分しにいったっていうのは、僕はこれ権力者としてはやっちゃいけないと思うね」