「一生父に束縛される…」万引きをきっかけに思い出した「恐怖と束縛」
殺害に葛藤あったが「逃れたい気持ち」

中学生になると少年を取り巻く環境が少しずつ変化していく。相変わらず家事は担っていたというが、暴力は治まり学校生活では友人にも恵まれた。神奈川県内の高校に入学することもできた。
しかし順調に見えた学生生活は長くは続かなかった。高校には馴染めず、次第に学校に通わなくなっていく。学校から足が遠のき暴走族にも一時期加入した。交際相手ができて、彼女の家で過ごすことも多くなる。そんな中迎えた事件当日、少年は友人らとコンビニで万引きをした。この万引きをきっかけに父親から殴られ「外出禁止」を言われた。
弁護士:殴られたときの気持ちは
少年:底なしの恐怖感や束縛感がよみがえってきた。すごく怖いなと思いました。
久しぶりに父から受けた暴力。「(小学校のころの)記憶が一気にフラッシュバックしてきた」ことで「恐怖や束縛」を感じ、逃れたいという思いが殺意へと繋がっていった。
弁護士:父親を殺そうと思ったのはなぜ
少年:父がいると、家から出れませんし、たとえ出れたとしてもすぐ警察に通報されてしまうと思い、どうしようもないと思いました。
弁護士:すぐに殺そうと決意した
少年:この底なしの恐怖感から逃れたいという気持ちと、殺したら一線を越えてしまうという思いもあり葛藤しました。
弁護士:葛藤してなお決意したのはなぜ
少年:結局は恐怖心と束縛心から逃れたいという気持ちが強まってしまったのと、唯一の居場所である彼女に会いにいきたいと思ったからです。
葛藤の末、別れそうだったという彼女に会いたいという気持ちを優先し殺害を決行した。
父親を殺害したあと自殺しようと考えていた少年。
殺すつもりはなかった母親については自分がいなくなったあとの事を考えた。

少年:また人を殺すのはまずいんじゃないかとも思いましたが、母は今後生きていても僕がつかまったり自殺したあと、本当に孤独になってしまうし、世間体を気にする人なので、このまま生きていても仕方ない、殺した方がいいのではないかと思いました。
事件について今の気持ちを問われ「後悔している」と話した少年。
だがそのあとこう答えた。「誰も死なないという選択肢は考えられない」