靴の一部がオークションサイトで格安販売
そして、2024年11月。A氏側の弁護士から破産申し立てを行うという書類が届きました。そこには…
弁護士の受任通知の内容より
「当職の許可なく物件内に立ち入ることは禁じられています」

立ち入りを禁じられている間に約800足の靴が持ち出されたとみられています。
同じビルの関係者が、A氏の姿を目撃していました。
A氏の姿を目撃した人
「シャッターの音がガラガラって開いたから。声をかけた。『おれへんなった社長ちゃうの?』って。『なんでや、何しにここに来た?』っていうたら。いつも俺らが見てる商品。上から荷物を運んでいた。ここに車止めてその荷物を何往復かして運んでいた」

さらに、取材を進めると、靴の一部がオークションサイトで格安で売られていたこともわかりました。
出品していた都内の中古品業者を訪ねると…A氏自らが120足ほどの靴を持ち込んだと証言しました。

中古品業者の証言
「『大量に靴があるんだけど買い取ってもらえるか』と言ってきた」
「わざわざ三重県から車で持ち込んできたため、印象に残っている」
サイトで売られていた靴を丸吉さんに見てもらうと…
新宿屋前社長 丸吉肇さん
「これは、倉庫に眠っていたやつです」
A氏は1足10万円から20万円する革靴を、1足1000円あまり、合計13万円ほどで売却していました。

新宿屋前社長 丸吉肇さん
「行方不明になってから僕らがいない間に、会社の商品を持ち出す。それは悪意そのものですから。最初から騙すつもりがなかったんですよって言うんやったら、ちゃんと出てきて」
結局弁護士は辞任し、破産の手続きは行われず、A氏が社長のまま新宿屋は事実上の倒産状態となりました。
専門家は、こうした行為について違法性を問われる場合もあると指摘します。

M&Aトラブルに詳しい大宅達郎弁護士
「会社の財産を、例えば不当に安く処分したり、これを会社のためじゃなくて私的に流用してるという場合には、会社法上の特別背任ということも適用の余地はあるだろう」
姿を消したA氏はどこにいるのか?

2024年9月に直撃取材したマンションは、すでに引き払われていて、A氏の携帯電話は電話をかけても繋がらず、メールも届きませんでした。
新宿屋は従業員も全員退職に追い込まれました。
新宿屋前社長 丸吉肇さん
「ある日いきなり解散ですから。僕が代表職やったら、こういうことになって申し訳ないと筋を通せるけど」














