トランプ氏の主張の背景に…存在感増す中国への警戒か?
トランプ大統領は今、なぜ運河問題を繰り返し主張するのか。その背景には、パナマで存在感を増す中国への警戒があるとの見方があります。
パナマ市内の国立公園で開かれた春節を祝う祭り。祝賀の踊りの見物や出店には大勢の人が集まります。

パナマ市民
「ここ数年で中国カルチャーはとても盛り上がっているよ」
パナマは2017年に台湾との外交関係を断ち、中国との国交を樹立。前後して中国の国有企業が港湾や橋の事業を落札しました。また、大手企業も相次いで進出しています。

さらに地元の大学と提携し、中国語や中国文化に関する教育機関を設置するなど、文化面でも関係を深めています。
こうした中国の動きについて専門家は…

パナマ大学 タピア教授
「まず中国がパナマと国交を結んだ際に直面した大きな障害は、パナマと台湾との長きにわたる関係でした。パナマ国民が台湾に対して持っていた非常に好意的なイメージを、どうやって中国に向けさせるかが彼らの重要な課題でした。
中国はさまざまな方法を駆使してパナマ社会に浸透し、協力関係を発展させてきました。中国はパナマを中南米全体の要所としているからです」
さらに、中国の関与をアメリカが強硬に非難する背景について、次のように分析しています。

パナマ大学 タピア教授
「アメリカはパナマに中国との関係を断ち切らせたいのです。なぜなら、中国はラテンアメリカをはじめ、全世界でアメリカの存在感を消そうとしているからです。パナマはアメリカが神経質になる地点なので、中国のプレゼンスについて交渉したくないのです。
私たちはいま岐路に立たされています。なぜならアメリカからの圧力に屈すれば、国際世論で、パナマはアメリカの植民地としてみなされることになるからです」
一方、拡大する中国の影響力について、パナマの経営者団体のトップは懸念も持っています。

パナマ経営者協会 デ・サンクティス会長
「パナマには1000社もの外国企業が進出しています。一方、中国企業は40社です。重要ですが必須ではありません。そこは区別する必要があります。パナマでの中国からの投資や影響は増加しています。なお影響力を拡大しようと一生懸命ですが、それはパナマに限ったことではなく、世界中どこでも同じです。
アフリカでも中国は大きな影響力を持っています。そこでは、中国はよいビジネスパートナーではないと聞いています。なぜなら、ビジネスの仕方がそれほど公正ではないからです。民主主義を守るパナマ国民として、中国の影響について本当に懸念しています。なぜなら中国は民主主義国ではないからです」