(松本さん)「昨日かな、(仕事に)来んかって、連絡つかなくて。」

少年は2日前から姿を消しているという。寮の部屋には脱ぎ散らかした服や、空のペットボトルがあちこちに散乱していた。更生支援の現実を目の当たりに感じる光景だ。

松本さんによると、少年が「飛んだ」のは初めてでなく、何度もあるという。

「晩に飲みに行って、友達と会ってワイワイしとって、明日仕事ブチったろうかみたいな、そんな感覚だと思うんですよ。」

度重なる無断欠勤に一部の社員から“クビにしていい”という声が出始めている。それでも松本さんは、少年の更生支援は諦められないという。
事務所の棚には、これまでやりとりのあった受刑者や少年院在院者からの手紙がずらりと並べられている。

そこには松本さんの会社で頑張りたいと願う少年の手紙もあった。

(少年が書いた手紙)「僕は社長にとても感謝しています。僕は不器用で迷惑かけてしまうこともあるかもしれないですが、一生懸命頑張っていきます。」

(松本さん)「これで僕、放っておいて、行くところなくなって、また半グレ戻って、『お前これやれ、あれやれ』っていいように使われて、刑務所に行ったって聞いたら、僕多分泣きますよ。ものすごく責任感じるの分かってるんで、だから彼を放っておけないんですよ。」

■思い浮かんだ社長や仲間 帰ってきた少年

松本さんの妻や会社の仲間たちも少年に帰ってくるようLINEを送ったが返信はない。

松本さんの自宅のインターフォンが鳴ったのは午後10時半過ぎ。
玄関の扉を開けると、目の前に少年が立っていた。

(松本さん)「どない思ってんだ!」

松本さんが激しく檄を飛ばした。

気まずそうな表情で部屋に入ってきた少年。椅子に腰かけ、ボソボソと小声で話し始めた。