(少年)「話を聞いていて、この人喋りやすいなって。直感じゃないけど、ここ(松本商会)に行ってみたいなって思って。」
■社長の家族に囲まれて 愛のある食卓
少年院出院後、念願の松本商会に就職することができた19歳の少年。事務所の上にある会社の寮で生活しながら、再スタートを切った。
平日は朝6時半に出勤。ホースやブラシなどの作業道具を車に積み、現場に向かう。この日は尼崎市内の新築アパートで引渡し前のハウスクリーニングを行った。
(松本さん)「手垢ひとつでもいい加減な仕事したら、すぐ出禁です、結構厳しいですよ。犯罪者のいる会社だって、そういう見方されるから余計手は抜けないんです。」
松本さんは仕事が終わると、よく社員たちを自宅に招き夕食を共にしている。少年は週のうち、半分はここに来て、松本さんの妻の手料理をご馳走になっているという。

(少年)「一人で部屋にいるの寂しいし、こうやってご飯食べれるのホンマありがたいです。」
松本さんは妻と3人の子供の5人家族。少年と家族全員で囲む食卓はいつも賑やかだ。
(松本さん)「愛望(あも)ちゃん、最近、よく(少年が)家に来るじゃん、嫌じゃない?」
(松本さんの娘:愛望さん(12))「うっとおしい時もあるけど、話し相手としか思ってない。」
(少年)「わははは。」
(松本さん)「彼は僕の子供たちともよく遊んでくれるんですよ。(少年の)幼少期を考えると、親にご飯を作ってもらえるような環境じゃなかったと思うんでね。松本商会はファミリーなんです、家族なんです。僕がお父さんで息子たちがいっぱいおって。更生支援ってこういうのが必要なんですよ、だから僕は全然苦じゃないです。」
■突然姿を消した少年 度重なる無断欠勤
少年が松本商会で働きはじめて1年。松本さんから記者に突然の電話が入った。
「少年が飛んだ」というのだ。早速、尼崎に向かうと。