愛子さまの古典の知識が垣間見えた「伊勢物語絵巻」

復元された輿(こし)

斎王に選ばれると、500人を超える大行列を組み、京都から5泊6日かけて伊勢へ向かいました。この旅は「群行(ぐんこう)」と呼ばれ、博物館ではその様子を描いた映画も上映しています。

斎王にとって輿(こし)に乗っての長旅は苦労を伴ったものであり、道中最大の難所であった鈴鹿峠を越えるのがいかに困難だったか、また宿泊地の中には受け入れの不備があったことなどを描いたシーンもあって、愛子さまも「大変だったんですね」と映画を観た後にご感想をもらしたそうです。

斎宮歴史博物館・天野秀昭さんの説明を受ける愛子さま

館内には群行のときに斎王が乗った輿を再現したものや、宮殿内の日々の生活の様子(食べ物や食器まで再現)など、斎王に関わるさまざまな展示がされています。

その中に愛子さまが、「斎王は恋愛はしてはいけなかったんですよね」と天野さんに確認した展示があります。

愛子さまがご関心をもった伊勢物語絵巻

それが伊勢物語絵巻。第69段の「狩の使」という章で、平安時代きってのプレーボーイ・在原業平と思われる男が伊勢を訪れ、斎王と恋に落ちて一夜を共にしてしまうシーンです。翌日も二人は逢瀬を図るのですが、帰京する業平を歓送する宴会が開かれたため、会うことがかなわず…別れを迎えます。

某アイドルグループも恋愛禁止で物議を醸しましたが、当時の斎王の場合は「神に仕える」という役目のために色恋は禁じられていて、その禁を破ってしまったところに文学があり、愛子さまはそこを確認されたわけです。

斎王の“禁じられた恋”が描かれた絵巻

愛子さまは学習院大学文学部で日本の古典文学が専攻でした。天野さんも説明をしていて「愛子さまは古典の知識を相当持っていらっしゃる」と感じたそうで、この伊勢物語のストーリーもすでにご存じだったのかもしれません。

愛子さまが訪問された斎宮歴史博物館

博物館には「日本最古のいろは歌が書かれた土器」なども展示されています。これは主に女性が使う文字だった「ひらがな」で書かれていて、斎王を始め多数の女性がいた斎宮から出土したことは興味深いところです。他にも「へぇー」と思う展示が多くあり、伊勢神宮からはちょっと足を伸ばす必要があるのですが、一見の価値はあるところだと思います。

番組では伊勢以外にも、愛子さまの人柄が分かるエピソードをいろいろと取材しています。ご期待ください。またX(旧Twitter)も始めたので、Xで「TBS」「皇室」で検索してみてください。

執筆者:TBSテレビ「春の皇室スペシャル プリンセス愛子さま“初めてづくし”の1年」プロデューサー 堤 慶太