「変だったら何度でもやり直す」被爆証言を数十年 数百年の未来へ

80歳を過ぎてから習い始めた英語は全くの初心者でした。

「私は英語であの残酷さや悲しみをね、自分の声で伝えたかったの」

英訳してもらった証言の録音を聞いて、何度も練習するうちに、感情を込めることもできるようになりました。しかし、今回収録するのは講話用の被爆証言だけではありません。

「膨大なんですよ、本当に膨大」

小学生や中高生などから寄せられたおよそ200の質問に対する回答です。

Q戦時中でも幸せを感じたことはありましたか?希望はありましたか?
「家族の団らん。お正月、お花見、海水浴、紅葉狩りなど四季の行事です。あの頃は日本が勝つと信じていました」

単語の意味とアクセントを1つ1つ辞書で調べながら朝から晩まで練習した原稿は書き込みでいっぱいに…。発音も妥協しません。

「お願いしとくのは、もう1回というダメ出しがあったら遠慮なくしてくださいね。変だったらいくらでもやり直すのでよろしくお願いします」

収録は、およそ4日間にわたって行われました。

「具合が悪くなって(証言)できない人もいるし、私もいつまでできるかな…と思うのですが、一生懸命頑張っていきたい。だって、みんなが一生懸命育てた子どもや孫に、次に渡す世界だから、本当に戦争のない世界を渡したい」

この夏、88歳になる八幡さん…。証言を届ける先は数十年、百年先の未来を生きる子どもや大人たちです。

Who do you love? What do you love? If a single nuclear weapon was used now, mankind would cease to exist. All that I have left to do is to communicate the truth of the Atomic Bomb to the world, and to continue to sound the alarm bells.

(あなたの愛する人は誰ですか?あなたの守りたいものは何ですか?今、一発の核兵器が使われたとしたら、人類は滅亡に向かいます。被爆の体験を伝え、世界に警笛を鳴らし続けることが今を生きる私にできることなのです)」