――今後も利上げするかもしれないし、しかもインフレも残る。トランプ政権も発足した。投資という意味ではどう投資をしていったらよいのか。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
インフレは緩やかに残りそうなので、郵便貯金だと目減りすると思う。でも、それを覚悟で、目先使うお金だから仕方がないんだと、とっちゃいけない性格のお金がある。今年、来年、再来年ぐらいに使うお金は株にしてはいけないと思う。いつリーマン・ショックみたいなことが起きるかわからない。そういうお金を郵便局に置いておくならそれは正しいと思うが、例えばお子さんの大学進学資金、18年後とか、ご自身の老後資金とか、遠い将来に使うようなお金はインフレに負けないことが一番大事。まずは、目減りさせないということ。若干リスクを取って投資をしておくと、実質的に少し増やせるはず。ただ、やはり怖いのは乱高下。
――そこに惑わされてしまう。
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
日銀は年内また1回2回利上げするかもしれない。なんといってもトランプ政権が再び始まった中で株価が急落する場面があってもおかしくない。2024年8月のような暴落があってもおかしくないが、そういう時こそ自分のお金のゴール。例えば、お子さんの大学進学資金や自分の老後資金。北極星ぐらい遠い時ではないかと。目先なんかはどうでもいい。ゴール時点でしっかり今より上がっていればいいというので、少し下がったところで怖くなって売るとかではなく、遠くを見続ける。これが一番大事。
株価指数は、日経平均株価にしてもS&P500にしても、乱高下する。乱高下するが、長期的には少しずつ上がっていくもの。過去を見てもそうだ。リーマン・ショックの時、半値になったが、そこからもう今遥かに高い水準にある。結局、郵便局に置いておくということは、インフレに負けるリスクを取っている。負けるかもしれない。投資をするということは、株価が下がって損をするかもしれないリスクを取っている。どちらのリスクがいい、悪いではない。どちらのリスクを避けたいか。株価が下がるのが嫌だというなら郵便局。自分はどちらかというとインフレに負けるのが嫌だから投資をしている。

――――最後に投資のプロから相場の格言。「早耳の早耳倒れ」
ニッセイ基礎研究所 井出真吾氏:
「早耳情報」という言葉があるが、誰よりも早く手に入れた情報で、株を買ったり、売ったり、売買しても、実はうまくいかないことがあるという意味。
結局早耳で何かいい情報を知り「これはあそこの株上がりそうだ」と思って買っても、全然上がらないなと。なぜなら、みんなが知らなければ、株価は上がらない。しかも同じ情報をみんなも良いと思わないと株価なんて上がらない。自分はいいと思ってもみんなが「これ駄目だよ、物足りないよ」と言ったら、株価は下がる。逆もある。自分はこんな大した情報ではないと思っても、みんなが「これいいじゃん」と言ったら株価は上がる。株価に限らず、マーケットというのは自分が決めるものではなくて、みんなが決めるもの。これがマーケットの真髄。だから難しくもあり、面白くもある。