100万人が不足「ドローン操縦士」 育成が急務
「低空経済」の成長に伴い、いま需要が高まっているのが「ドローン操縦士」だ。
100万人が不足しているという試算もあり、その育成を手がけるドローン学校は中国全土に1000校以上あるといわれている。その一つを訪ねた。
広東省・広州市黄浦(こうほ)地区。約100年前の1924年、中国革命の父である孫文が設立し、蒋介石が校長を務めた「黄埔士官学校」跡地のすぐそばにその学校はあった。
その名も「黄埔ドローン学校」。
学校は昨年設立されたばかりで、土埃が立つ屋外で学生たちがドローンの操縦技術を学んでいた。授業料は約20万円。数ヶ月かけて学ぶのだという。

なぜドローン操縦士が必要なのか。
ドローンは自動操縦のものがある一方、人間の手による操縦が必要なものも数多くある。
例えば、人里離れた山奥にあるインフラの点検作業。映画などの商業用撮影も人の手によって行われる。
また、現在中国では重さ4キロ以上のドローンを操縦する際はライセンスが必要だ。
学生(27歳):
「家業は林業を営んでいるので、森林の計測を行うためにドローン技術が活用できるのではないかと思って、この学校に来ました」
学生(35歳):
「以前はEコマースの会社を経営していましたが経営が悪化したため、会社を畳みました。そこで思い切って政府がいま力を入れている『低空経済』の領域にチャレンジしようと決めました」
学生のバックグラウンドは様々だが共通しているのは「政府が力を入れる『低空経済』の分野に可能性を感じ、この業界に飛び込んだ」ということ。
校長はドローン操縦士の活躍の場は今後さらに広がるだろうと話す。

黄埔ドローン学校 温超祥 校長:
「中国は広大ですから、農村の『ラスト1マイル』でドローンが活躍します。例えば、農薬の散布や収穫した果物の輸送などですね。都市部でも救急ドローンは交通渋滞にはまることなく負傷者を速やかに移送することができます」
「湾岸地区の海を越える移動や、小さい船では接岸が困難な小島への移動もドローンなら簡単です。全ての場面でドローン操縦士には活躍の場がありますよ」
「今後、ドローンのライセンスは自動車のライセンスと同じくらい、身近なものになる」と話す温超祥校長。現在、在籍する生徒は約80人。来年までに1000人に増やしたいと抱負を語った。