■差し迫る“台湾有事”

2022年8月4日。日本を取り巻く情勢がさらに緊迫していると痛感した瞬間だった。アメリカ・ペロシ下院議長の台湾訪問に反発した中国が、台湾周辺で軍事演習を実施し9発の弾道ミサイルを発射。防衛省によると、うち5発が沖縄県・波照間島の南西の日本のEEZ=排他的経済水域内に落下した。EEZ外ではあったものの、与那国島から北北西に約80キロの地点に落下したものもあったという。
この軍事演習は、台湾周辺を6つのエリアに分け行われたのだが、中国軍の少将で国防大学の孟祥青教授は「北側の2つのエリアは沖縄に近い」と指摘し、軍事演習の対象には日本や沖縄のアメリカ軍基地を含んでいることを示唆した。
こうした中、アメリカのバイデン大統領は9月、CBSテレビの番組で、中国が台湾に侵攻した場合はアメリカ軍が台湾を守ると明言。日米安全保障条約・第6条では「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」と規定している。
中国が台湾への軍事的圧力を強める中、ひとたび台湾有事となれば、日本は攻防の最前線ともなりうる。まさに「台湾有事は日本有事」なのだ。