メディア環境の激変で大きな転換点にある放送界。メディア論の第一人者である上智大学の音好宏教授による論考の後編では、2025年の課題などについて展望する。放送開始から100年目を迎えたNHKのネット業務の必須化や、70年の節目を迎えたケーブルテレビ、いま放送コンテンツに求められるものなどを論じる。

2025年がスタートした。日本の放送界にとって、2025年はどのような年になるだろうか。

今年は、日本で放送が始まって100年目にあたる。100年前の1925年3月22日、日本初の放送局となる社団法人東京放送局(JOAK)が、東京・芝浦の東京高等工芸学校内に設けた仮設スタジオを使ってラジオ放送を開始したのが、その始まりである。

1920年に、米国・ピッツバーグで、電機機器メーカーのウェスティングハウス社傘下のKDKAが世界最初のラジオ放送を開始してから、遅れることわずか5年で、日本でもラジオ放送を始めたことになる。日本でラジオ放送の開始を急ぐことになった背景には、1923年に発生した関東大震災の教訓があったとされる。