70年の節目を迎えたケーブルテレビ

冒頭で、今年はいろいろな節目の年と述べたが、日本のケーブルテレビについても、スタートしてから、70年目の節目にあたる。

日本のケーブルテレビは、1955年に群馬県伊香保温泉にNHKの共聴施設がスタートしたことで、その歴史が始まった。自主制作チャンネル(コミュニティ・チャンネル)を含む、番組供給事業者からの番組を提供することで、1990年代から2000年代にかけて、日本の多チャンネル化を牽引してきた経緯がある。その後、ケーブルテレビは、インターネット事業、電話事業といった電気通信事業へ、そのビジネス領域を拡大してきた。

ところが、2010年代後半になると、インターネット上での動画サービスの伸張により、ケーブルテレビにおける放送事業領域のビジネスの伸び悩みが顕在化してきている。すでに米国では、ケーブルテレビとの契約を解除し、動画配信サービスにシフトする「コードカット」といった現象が、ケーブルテレビ事業者を襲っている。

ケーブルテレビ事業における放送事業領域の低迷は、衛星放送事業においても言えることで、2025年は、衛星プラットホーム料金(トラポン代)の値下げなど、衛星放送事業者からその事業環境整備を求める声が、より一層、高まるであろう。