災害対応を期待される放送

関東大震災は、日本の政治経済の中心となっていた首都圏に甚大な被害をもたらすとともに、流言飛語や風評被害も横行。それによる集団暴行といった痛ましい事件も発生している。関東大震災の発生時に、もしラジオ放送が始まっていたならば、人々の命を救い、被害を減らすことができたのではないかというラジオ放送への期待が、ラジオ放送のスタートを早めたとされる。

日本において放送は、そのスタート時から自然災害にあたって、人命を守り、被害をできるだけ少なくするために有用な情報提供の装置として、一定の役割を果たせるという社会的な期待が高かったと言える。

それから100年。2025年1月は、能登半島地震から1年、阪神淡路大震災から30年目にあたる。1月には、関連番組が編成されているが、他方において、近年、多発する自然災害や近い将来発生する可能性が高いとされる南海トラフ地震への対応などもあり、制度的・組織的対応への関心も高まっている。

2024年10月に発足した石破茂政権は、11月の衆院選で大敗。石破首相は、少数与党を率いて厳しい国会運営を強いられている。そのため、石破政権として、特色ある政策をなかなか出せないでいるなかにあって、石破政権の目玉政策として、防災庁の設立の動きがある。

放送政策においても、放送分野で、より積極的な災害対応を可能にするための政策検討が始まろうとしている。この防災庁の立ち上げ、並びに、それに関連する防災に関わる放送政策の検討は、今年の注目すべき動きとなろう。