
能登半島地震では、新潟市江南区の天野中前川原自治会長・増田進さん(75歳)の自宅も被害を受け、新潟市の罹災証明で『半壊』の認定を受けました。
増田さんがこの天野地区に住み始めたのは、今から40年ほど前のこと。
住民の年代も同じくらいだそうです。
「昭和50年前後から、ここは急激に世帯数が増えた地域…」

日本一の大河・信濃川沿いに位置する天野地区は、1967年に曽野木団地の建設が始まったのをきっかけにして、その後は住宅地として急速に発展。多くの人が移り住みました。
そんな天野地区周辺は、国土交通省の『液状化しやすさマップ』では、最も高い危険度を示す赤色で塗られています。この湾曲した赤色のラインは、江戸時代に治水事業が行われるまで天野地区に信濃川が通っていたことを示しているのです。

この『液状化しやすさマップ』は、北陸地方整備局と地盤工学会が2012年に作ったもの。天野地区が住宅地として発展した当時にはなかったものです。
長年住み続けた我が家が“液状化する土地”の上に建っていた、という受け入れがたい現実を、住民たちは地震によって突きつけられたのです。
【住民】
「私も歳だから、なんとかいい方法を考えてるんですけど…」
「地盤は見えないでしょ、目にね。それが怖いですよね」
【天野中前川原自治会 増田進会長】
「『とてもこんなところ住んでられない』と、引っ越しや建物を壊すことを考えているお宅もあるようで…」
「表現悪いかもしれないけど、“限界集落”というそんな状況になりつつある」

高齢化が進む地域に降りかかった液状化現象の被害と、今後への不安…。
そんな中で住民は、“地域を元気づけよう”と動き出しました。