「あなたたちは嘘を伝えていた」街頭で浴びた厳しい声
11月17日、午後8時。MBSでは開票速報特番(配信)ですぐに斎藤元彦知事の当選確実の速報を打った。想定をはるかに超える大逆転劇だったのだが、兆しは選挙期間中の街頭取材で感じていた。
当初は「たった一人で始めた」という斎藤知事の選挙戦だったが、演説会場の人垣と熱気は他の候補とは一線を画すものがあった。人の輪は日を追うごとに大きくなり、やがてうねりとなっていった。
一方でメディアに向けられた視線は非常に厳しいものがあった。斎藤知事を支持する方々に話しを聞いたが、「テレビに騙された」「あなたたちは嘘を伝えていた」と叱責を受けた。「これが民意だから」「(選挙で)あなたたちと私たちのどちらが正義かわかるはず」と厳しく指摘された。
斎藤氏に敗れた稲村和美候補が「何を信じるかの戦いになっていた」と漏らすように、事実とは何かを超え、何が正義かをめぐる異様なムードに包まれていた。
今回の兵庫県知事選挙が持つ意味は単なる一地方の首長選挙にとどまらない。私たちテレビメディアに対して強烈な問いかけがなされた選挙だと思う。果たしてこのままの選挙報道で良いのか?と。