「軽い気持ちで受けてしまったことを後悔している」。そう語るのは、地域の老人会に参加する70代の男性です。5年ごとに行われる国勢調査。今年も9月から始まり、広島市だけでも約7600人の調査員が必要とされています。非常勤の国家公務員として報酬も支払われ、50世帯あたり5万円ほどとされる。「年金暮らしには助かる」と町内会長の依頼を受けたものの、男性は想像以上の大変さに直面しました。

■国勢調査員の事前準備
男性の担当区域は自宅周辺のおよそ80戸。9月上旬、まずは説明会に出席しました。映像視聴や資料の説明で2時間にわたり、国・市などと同じようなことが記載されている分厚い指導書を前に気持ちが重くなりました。

続いて一軒ずつ居住の有無を確認しながら区域を歩きます。歩数は1万歩を超え、思いのほか体力を使いました。

「顔写真入りの調査員証を下げていても、最初は訝しげな目を向けられる。不審者と間違われないか心配だった」

声を掛け、地域の住民だと分かってもらえた時には、相手の表情が和らぐのが印象的だったといいます。

さらに大変だったのが、配布資料を世帯ごとに仕分ける作業です。封筒詰めは番号を一致させて書類をまとめるため、確認の連続。男性は「まとめた形で支給してくれれば」と思わずグチがこぼれました