どうする?これからの選挙報道
今回の兵庫県知事選挙で起きたことには頭を思いっきり殴られた思いだ。だからこそテレビに向けられた厳しい声に真摯に向き合わねばならない。ではどうするのか。2つのアプローチがあると考える。
1つは結果重視からプロセス重視へ。選挙は言わずもがな結果が重要だ。それゆえ情勢取材も放送も選挙結果を伝えることに重きを置いてやってきた。国政選挙ともなれば人員と予算を開票特番へ集中投下する。一夜の花火大会のごとくドーンと打ち上げるのだが、実はその花火大会を誰と一緒に、どんな浴衣を着て、どこから見るのかというプロセスも同じくらい大切なのではないか。有権者は選挙戦での情勢や各候補の人となり、資質、掲げた政策などを知り、評価して判断を下し、投票に及んでいる。その有権者の思考の過程に私たちは的確にコミットできているのだろうか。プロセス報道へ比重を移し政策課題など有効な判断材料を提示し、投票行動へとつなげることこそメディアの役割である。
その上で、もう1つのアプローチはSNSやネットとの対話だろう。先に述べたように選挙期間となれば報道の量がぐっと減ってしまうという長年の課題がある。しかし、街頭で起きていること、ネットやSNS上での話題や言説に敏感になり、我々メディアが取り上げ、分析し、時に情報の正誤も含めて伝えることはできるのではないか。そんなことをしたら論争を呼び、面倒が増えるだけだと感じるかもしれないが、ネットやSNSと対話の無い状態が「テレビは無視した」と言われてしまう結果を生んでいる。選挙はSNSとテレビの勝ち負けではない。普段の番組でやっているようにネットやSNSをうまく取り入れ選挙期間中も対話を続けることが必要だ。
SNS、ネット、テレビなどさまざまな媒体から情報を取り入れて投票を冷静に判断した人も多いはず。もちろん我々テレビの側も放送時間に縛られず選挙関連の配信番組をすでに多数放送している。今後、地上波とWEBを併用した選挙情報の発信はさらに増えるし有効活用していきたい。